全日本学童マクドナルド・トーナメント東京予選と、都知事杯フィールドフォース・トーナメントの上位チームが集い、頂上を競う「東京都スポーツ文化事業団理事長杯駒沢ジュニアベースボール大会 第18回東京都学童王座決定戦」は8月23、29、30日に東京都世田谷区の駒沢硬式野球場で行われた。ともに勝てば初優勝の2チームによる決勝は、レッドサンズ(文京・全日本学童予選2位)が用賀ベアーズA(世田谷・全日本学童予選3位/都知事杯学童優勝)を下した。
(写真&文=鈴木秀樹)
※記録は編集部
■決勝
◇8月30日◇駒沢硬式野球場
[文京]全日本学童予選2位
レッドサンズ
30020=5
01002=3
用賀ベアーズA
[世田谷]全日本学童予選3位/都知事杯学童優勝
【レ】齊藤、加藤-原川
【用】佐藤、大野、岡田-並里
三塁打/原川(レ)、並里(用)
二塁打/加藤、武内、野村(レ)
【評】レッドサンズは初回、四死球で一死一、二塁の好機に野村咲翔が先制打を放つと、加藤光志朗が2点適時二塁打で続き3点を先取。用賀ベアーズAも2回、四球を足掛かりに敵失で1点を返すが、レッドサンズは4回に二死から武内瑛汰が敵失で出塁すると、原川瑛仁主将が左中間に適時三塁打、野村が左翼線に適時二塁打を放ち2点を追加。最終回となった5回には、用賀が大和結星主将の安打と四球などで得た好機に、並里煌が左越え三塁打を放ち2点を返したが届かず、レッドサンズが勝利を手にした。

ケガ人をチーム全体でカバーし前進
全国ベスト16入りを果たした高円宮賜杯マクドナルド・トーナメントからわずか2週間ながら、チームの成長を感じさせる戦いぶり。昨秋の新人戦、全日本学童予選とも準優勝に終わり、今年のチームではここまで無冠だったレッドサンズが、夏の終わりに、うれしい東京一を勝ち取った。
主力の負傷もあり、万全のチーム状態で臨むことができなかった四国・愛媛の大舞台ではあったものの(→こちら)、“東京にレッドサンズあり”の存在感を感じさせたベスト16入り。その実力を証明するにふさわしい、王座決定戦での優勝となった。

㊤1回表一死一、二塁、野村が先制の適時打㊤、続く加藤が2点二塁打を放つ㊦

調布ファイターズ(調布)との初戦を先発の並木恒太朗から大塚結心、齊藤叶翔、比毛陽翔と4投手をつないで完封勝利。不動パイレーツ(目黒)との準決勝も齊藤、加藤光志朗、武内瑛汰、原川瑛仁主将の4人による継投で8対6で競り勝ち、決勝は齊藤から加藤へのリレーで用賀打線を封じた。
「この大会はとにかく、投手陣のやりくりに苦労はしました」
門田憲治監督はホッとした様子で振り返った。
「相手の用賀さんは船橋フェニックスの120km超えの2枚看板(森下貴斗と大野凌駕)を打ってきた強力打線。決勝は、いざ、というときには1イニング限定登板の武内も考えていたんですが、取り越し苦労に終わって何よりでした。とにかく、みんながよく頑張ってくれました」

決勝は全試合で先発の齊藤㊤と「どこでも守れる」(門田監督)加藤㊦の2投手で戦いきった

さらに続ける。
「全国大会は3回戦敗退と、目指していた結果には届きませんでしたが、ここではマック(全日本学童)で上位入賞した先輩たちも果たせなかった、チーム初の優勝。先輩たちを超える成績を残してくれました」
全試合に先発した齊藤の力投はもちろん、球数では齊藤以上に投げた加藤は、準決勝では二塁から投手、遊撃、そして捕手と、センターラインをひと回りするように守った上に、五番打者としても決勝で初回の2点打を放つなど大活躍だった。

「決勝の最終回は用賀打線に打たれちゃって…」と振り返る加藤だったが、「でも、打たせればみんなが守ってくれると思って」とチームメートに感謝した。
登板がかなわなかった神谷駿、準決勝1イニングの登板にとどまった武内の2枚看板も打席で存在感を示した。また、八番だった初戦と準決勝でともに三塁打を放ち、決勝では四番に座って3打数3安打の活躍を見せた野村咲翔は「一番(神谷)、二番(武内)、三番(原川主将)がみんな良いバッターなので、それに続いて期待に応えようと思いました。緊張はなかったです」と、活躍にも涼しい顔だ。「ただ、(単打、単打、二塁打の3安打だった)決勝も、もっと長打を打ちたかったな」
故障者の続出にも士気が低下することなく、むしろ発奮材料として全体のレベルアップを果たし、優勝まで上り詰めてみせたレッドサンズ。原川主将は「やっぱり優勝は違います。最後に勝って終われるって、最高ですね!」と声を弾ませた。

準決勝でライバル破り成長の準V
決勝では敗れた用賀ベアーズだったが、こちらも都知事杯フィールドフォース・トーナメント王者(→こちら)として、十分に存在感を示しての銀メダルだった。
用賀のハイライトは何といっても、都知事杯決勝と同一カードとなった、同地区の強敵・船橋フェニックスと戦った準決勝だろう。
◇ ◇
初優勝を果たした都知事杯の後、用賀は同大会Vで出場権を手にしたコントリビュート杯関東学童大会でも優勝、一方の船橋は全日本学童マクドナルド・トーナメントに出場し、全国大会で銅メダルを獲得していた。
関東一になった用賀と、全国3位の実績を手に凱旋した船橋の一戦。東京ローカルの大会とはいえ、いまや全国区の一戦ともいえる好カードは、ここでも予想通りの接戦となった。

船橋フェニックスとの準決勝でサヨナラ勝ちを収めた用賀㊤。試合を決めたのは大和主将の安打だった㊦

終始、先手を奪ったのは船橋だった。初回に先頭の森下が四球で出塁すると、盗塁と2つのバントで1点と、足で先制点を奪ってみせた。
用賀は2回裏に並里煌が安打で出塁、盗塁と右飛での進塁、暴投で1点を挙げて追いつくも、船橋は4回に四球の走者を置き、石黒信匡主将が中越えの本塁打を放って再び2点をリードした。
それでも、用賀はその裏に大和結星主将の適時打と押し出し四球で追いつき、勝負を無死一、二塁開始のタイブレークに持ち込むと、船橋の攻撃をゼロで抑え、最後は大和主将の内野強襲安打で4対3とし、サヨナラで勝利を手にしたのだった。
◇ ◇

準決勝、決勝ともリリーフ登板し、力投を見せた大野㊤ 決勝の最終5回裏に2点三塁打を放った並里㊦

決勝ではレッドサンズに敗れた用賀。それでも、表彰式に臨んだ選手らは、この大会の3日間だけでなく、都知事杯から関東大会へと無敗のまま駆け抜けた、夏の長い道のりを充足感とともに振り返るように、すがすがしい表情をたたえてもいた。
【大会全結果】
▽1回戦
船橋フェニックス(世田谷) 12-2 増戸少年野球クラブ(あきる野)
用賀ベアーズA(世田谷) 7-0 高輪クラブ(港)
不動パイレーツ(目黒) 7-5 深川ジャイアンツ(江東)
レッドサンズ(文京) 16-0 調布ファイターズ(調布)
▽準決勝
用賀ベアーズA 4-3 船橋フェニックス
レッドサンズ 8-6 不動パイレーツ